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"かなり使えた"【川村明宏のジニアス記憶術】
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代理人が本人の名だけを示して行為をした場合の効力如何 [代理(5)]

 代理人が自己の名を出さず本人の名だけを示して行為をした場合は、代理人の名は出ておらず、いわゆる代理における三面関係は存在しない。その為、当該行為の効果の本人への帰属を認めることは困難のようにも思われる。

 しかし、この場合も、とにかく本人の名は告知されており、実質的には顕名主義(99条1項)の要請を充たしており、相手方に対しても効果帰属の主体は告知されているから、このような場合であっても、当該行為の効果は有効に本人に帰属するものと考える。

 また、このような代行方式による場合も有効な代理として扱うことは、我が国の取引の実際において、契約書などに代理人の氏名を記さずに直接本人の氏名のみを記し、本人の印を押すという形式で行為がなされることが珍しくないという実情にも合致する。

代理人に特にそのような権限(代行権限)が与えられている場合には、代理人に準じて扱うべきである。

以上





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代理権授与行為の法的性格(単独行為説) [代理(4)]

 民法には代理権付与の要件についての規定がない。その為、如何なる要件のもとに代理権が付与されるかが問題となる。

 まず、代理関係は、委任などの対内関係の対外的効果に過ぎないとする立場では、授権行為は対内関係を生ずる行為の性質そのものということになり、従って、多くは契約ということになる。しかし、本人と代理人との間に委任などの対内関係があるからといって、常に代理を伴うわけではなく、しかも、代理は義務を伴うこともない。単に本人に権利義務を発生させる地位に過ぎない以上、代理関係を委任などの対内関係の対外的効果として位置づけることは妥当ではなく、代理関係は委任などの内部関係から独立したものであると解すべきである。

 このように代理関係を対内関係とは別個独立のものであるとすれば、授権行為の性質は対内関係を生ずる行為とは切り離して考える必要がある。この点、私的自治の原則を重視し、代理権授与行為も契約(無名契約)であり、代理人になろうとする者の承諾を必要とする見解がある。しかし、これでは、代理人側からの授権契約の取消しも可能となり、取引の安全を害する。

 思うに、代理は義務を伴うこともなく、単に本人に権利義務を発生させる地位に過ぎないのであるから、ことさら代理人になろうとする者の同意を要件とする必要はなく、その結果、単独行為であると解するのが妥当である。

以上





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