(論証例・少数有力説)
失踪者の保護の見地より、
32条1項但書の善意は当事者双方の善意を意味すると解するが、同項但書は財産的法律行為を予定して規定されたもので、身分的法律行為についてはそもそも適用されないと解する。
通説は、身分的法律行為についても当事者双方の善意を要求し、妻及び新配偶者の双方が善意であるときは前婚は復活しないとするが、これは婚姻が当事者の意思を重視する身分的法律行為を無視した解釈である。
身分的法律行為には、その特質からそもそも同項但書は適用されないと解するときは、当事者の善意、悪意を問題とせず、失踪宣告後の重婚関係を認めた上で、その解決策として当事者の協議に委ね、協議不調の場合は、検察官より再婚取消を請求させ、この取消に不服の者をして前婚の離婚を請求させるのが妥当である。 以上
・この説は善意とかの問題ではなく、広い意味において利益衡量で決まる説である。