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"かなり使えた"【川村明宏のジニアス記憶術】

代理における行為者は誰か [代理(1)]

代理における行為者は誰かについては、代理人であるとする代理人行為説、本人であるとする本人行為説、代理人と本人との共同によるものであるとする共同行為説の対立がある。

思うに、代理人行為説を支持したい。

この説に対しては、私的自治の原則の柱である「人は自己の意思にのみ拘束される」という法律行為理論を貫徹できないとの批判がある。しかし、第一に、代理を私的自治の原則の補充・拡充制度として位置付ける限り、代理人行為説と私的自治の原則とは矛盾しない。

第二に、条文上も、101条1項は意思表示の瑕疵などにつき代理人を基準としているし、99条もまた然りである。このように、明らかに民法は、代理における行為者は本人ではなく、代理人であるとみている。

右のように解する限り、101条2項(本人について)は、同条1項の例外規定ということになる(本人行為説になるから例外規定となる)。しかし、同項所定の場合以外の場合にも、例えば特定の法律行為が委託されたとはいえない場合、または、代理人が本人の指図に従い行為をなしたとはいえない場合において、代理人はある事項につき知らなかったが、本人においてある事情を知りまたは知り得たという場合には、本人の主観的態様を考慮するのが公平に資する。

つまり、特定の法律行為の委託がない場合でも、本人が代理人をコントロールし得る可能性さえあれば、本人を基準として代理行為の瑕疵を判断することにより、代理人行為説の難点を解消することができるのである。

以上




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失踪宣告の取消の効果(2)身分的法律行為の場合で、夫が失踪して妻が再婚した場合 [失踪宣告の取消の効果(2)]

(論証例・少数有力説)

失踪者の保護の見地より、32条1項但書の善意は当事者双方の善意を意味すると解するが、同項但書は財産的法律行為を予定して規定されたもので、身分的法律行為についてはそもそも適用されないと解する。

通説は、身分的法律行為についても当事者双方の善意を要求し、妻及び新配偶者の双方が善意であるときは前婚は復活しないとするが、これは婚姻が当事者の意思を重視する身分的法律行為を無視した解釈である。

身分的法律行為には、その特質からそもそも同項但書は適用されないと解するときは、当事者の善意、悪意を問題とせず、失踪宣告後の重婚関係を認めた上で、その解決策として当事者の協議に委ね、協議不調の場合は、検察官より再婚取消を請求させ、この取消に不服の者をして前婚の離婚を請求させるのが妥当である。 以上

・この説は善意とかの問題ではなく、広い意味において利益衡量で決まる説である。



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